住居確保給付金の条件と申請方法|家賃が払えないときの家賃補助

家賃が払えなくなりそうなとき、国の制度として使えるのが住居確保給付金です。離職・廃業から2年以内の方、または自分の都合によらず収入が減った方で、収入と預貯金が基準以下であれば、家賃相当額が原則3か月(延長で最長9か月)支給されます。貸付ではないため返済は不要です。2025年4月からは、家賃の低い住宅へ移るための転居費用も対象に加わりました。申請先はお住まいの市区町村の自立相談支援機関で、金額の基準は自治体ごとに異なります。

  1. 住居確保給付金は家賃そのものを補助する制度
    1. 貸付ではなく給付
    2. 支払われるのは原則として大家側の口座
    3. 2025年4月に対象が広がった
  2. 支給の条件は5つに整理できる
    1. ①離職・廃業から2年以内、または収入が同程度に減った
    2. ②世帯の生計を主として維持している
    3. ③収入が「基準額+家賃額」以下
    4. ④金融資産が基準額の6倍(100万円が上限)以下
    5. ⑤求職活動を続ける
  3. 収入基準・資産基準と支給上限額は自治体で異なる
    1. 単身世帯の基準の比較例
    2. 世帯人数別の支給上限額(大阪市の例)
    3. 収入が基準額を超えるときの支給額
    4. 申請できる住宅の条件
  4. 支給期間は原則3か月、延長と再支給の条件
    1. 原則3か月、2回の延長で最長9か月
    2. 再支給は前回終了から1年が目安
    3. 就職しても即座に打ち切られるわけではない
  5. 対象にならない・支給が止まるケース
    1. 持ち家の住宅ローンは対象外
    2. 生活保護の住宅扶助とは併給できない
    3. 求職活動の指示に従わない場合
    4. そのほか申請できない場合
  6. 申請から支給までの流れと必要書類
    1. 相談から申請までの5ステップ
    2. よく求められる書類
    3. 貸主や勤務先に知られるのか
    4. 申請のタイミングは早いほうがよい
  7. 2025年4月に加わった転居費用補助
    1. どういう人が対象か
    2. 対象になる費用とならない費用
    3. 上限額も自治体差がある
  8. 家賃が払えないときに併せて検討できる制度と、注意したいこと
    1. 家賃以外の資金が足りない場合
    2. すでに借入の返済が重なっている場合
    3. ヤミ金・違法業者への注意
  9. よくある質問
  10. まとめ

住居確保給付金は家賃そのものを補助する制度

貸付ではなく給付

住居確保給付金は、生活困窮者自立支援法にもとづく給付金です。同法第3条第3項は、離職などにより経済的に困窮し「現に賃借して居住する住宅の家賃を支払うことが困難となったもの」で「就職を容易にするため住居を確保する必要があると認められるもの」に支給する給付金と定義しています。同法第6条第1項は、都道府県等がこれを「支給するものとする」と定めており、要件を満たせば支給される仕組みです。

生活福祉資金貸付制度のような貸付と違い、返済の必要はありません。一方で、支給期間が限られ、求職活動の報告が毎月求められる点が特徴です。制度全体の位置づけはお金が足りないときに使える公的制度7つで整理しています。

支払われるのは原則として大家側の口座

支給額は申請者本人に渡されるのではなく、原則として住宅の貸主や管理会社の口座へ自治体が直接振り込みます(代理納付)。手元に現金が入るわけではないため、家賃以外の支出には充てられません。

2025年4月に対象が広がった

2025年4月1日施行の改正生活困窮者自立支援法により、家賃補助に加えて、家賃の低い住宅へ転居するための費用を補助する枠が設けられました。詳細は後述します。

支給の条件は5つに整理できる

生活困窮者自立支援法施行規則第10条が要件を定めています。実務上は次の5点に整理できます。

①離職・廃業から2年以内、または収入が同程度に減った

離職や廃業から2年以内であることが基本です。あわせて、自分の責任や都合によらず給与等を得る機会が減り、離職・廃業と同程度の状況にある方も対象になります。勤め先の休業による減収、シフトの大幅な削減などが該当します。

なお、疾病や負傷、育児などで求職活動ができなかった期間がある場合、その期間を除いて2年を数える運用があり、自治体によっては最長4年までとして扱われます。離職から2年を過ぎていると思って申請をあきらめる前に、この除外期間の扱いを窓口で確認する価値があります。

自己都合の退職であっても対象から外れるわけではありません。離職理由を問わず「離職・廃業から2年以内」であれば要件を満たし得ます。一方、収入減少を理由にする場合は、その減少が自分の責任や都合によらないものであることを示す必要があります。

②世帯の生計を主として維持している

申請する月の時点で、世帯の家計を最も支えている立場であることが求められます。同居家族のうち収入が最も多い方が別にいる場合は、原則としてその方が申請者になります。

③収入が「基準額+家賃額」以下

申請月の世帯収入の合計が、基準額(市町村民税の均等割が非課税となる収入額の12分の1)と家賃額を足した額以下であることが条件です。基準額は自治体ごとに異なります。

④金融資産が基準額の6倍(100万円が上限)以下

世帯の現金・預貯金・株式・投資信託・暗号資産などの合計が、基準額に6を掛けた額(その額が100万円を超える場合は100万円)以下であることが要件です。

⑤求職活動を続ける

受給中は、ハローワークへの求職申込みと、自立相談支援機関・ハローワークでの定期的な相談、求人への応募を継続することが求められます。自営業の方は、経営相談窓口での面談や自立に向けた計画にもとづく取組で代えられる運用があります。

収入基準・資産基準と支給上限額は自治体で異なる

基準額は住民税の非課税基準をもとに算定され、家賃の上限額は生活保護の住宅扶助特別基準額に連動します。いずれも地域の級地区分で変わるため、全国一律の金額はありません。お住まいの自治体で異なりますので、必ず窓口で確認してください。

次の表は、2026年10月時点で各自治体が公表している単身世帯の例です。

単身世帯の基準の比較例

自治体基準額家賃上限額収入基準(基準額+家賃上限)金融資産の上限
大阪市92,000円40,000円132,000円552,000円
神戸市92,000円40,000円132,000円552,000円
愛知県町村部86,000円36,000円122,000円516,000円

同じ単身世帯でも、収入基準に1万円の差が出ます。判定は申請月の収入で行われるため、「前月は超えていたが今月は下がった」という場合は申請できる可能性があります。

世帯人数別の支給上限額(大阪市の例)

世帯人数月額の支給上限収入基準額金融資産の上限
1人40,000円132,000円552,000円
2人48,000円187,000円834,000円
3人52,000円224,000円1,000,000円
4人52,000円266,000円1,000,000円
5人52,000円307,000円1,000,000円
6人56,000円353,000円1,000,000円
7人以上62,000円396,000円以上1,000,000円

家賃が上限額を超えている場合、超過分は自己負担になります。

収入が基準額を超えるときの支給額

支給額は一律に家賃全額とは限りません。収入が基準額以下であれば家賃額(上限額まで)が支給されますが、収入が基準額を上回る場合は「基準額+家賃額-世帯収入」で算定され、差額のみの支給になります。

たとえば大阪市の単身世帯で、基準額92,000円、家賃45,000円、月収110,000円のケースでは、家賃上限が40,000円であるため、92,000円+40,000円-110,000円=22,000円が支給額の目安になります。残りの家賃は自己負担です。収入が月によって変動する方は、どの月で申請するかによって支給額が変わります。

申請できる住宅の条件

対象になるのは、申請者本人が賃借人として契約している賃貸住宅です。勤務先が契約する社宅や寮、親族が契約名義人になっている住宅などは、契約関係によって扱いが変わるため、賃貸借契約書を持参して窓口で確認する必要があります。

支給期間は原則3か月、延長と再支給の条件

原則3か月、2回の延長で最長9か月

施行規則第12条第1項は、まず3か月間の支給を定め、支給を続けることが就職の促進に必要と認められるときは、3か月ごとに9か月までの範囲で延長できるとしています。延長は自動ではなく、そのたびに申請と求職活動実績の確認が必要です。

再支給は前回終了から1年が目安

一度受給を終えた方が再び申請する場合、自治体の運用では「前回の支給終了から1年以上が経過していること」に加え、常用就職したことや収入基準を超える収入を得ていたこと、あるいは自分の責任によらない離職・廃業や同程度の減収があったことが求められます。再支給の扱いは自治体で差があります。

就職しても即座に打ち切られるわけではない

受給中に就職が決まっても、収入が基準額以下にとどまっている間は支給が続く場合があります。逆に、収入が基準を超えた月は支給されません。就職や収入の変動があったときは、その都度の届出が必要です。

対象にならない・支給が止まるケース

持ち家の住宅ローンは対象外

この給付金が補助するのは賃貸住宅の家賃です。持ち家の住宅ローン返済は対象になりません。住宅ローンの返済が難しい場合は、金融機関への返済条件変更の相談が先の選択肢になります。

生活保護の住宅扶助とは併給できない

生活保護を受給している場合、住宅扶助が家賃分をカバーするため、住居確保給付金との併給は認められません。どちらが適しているかは、収入や資産の状況によって変わります。

求職活動の指示に従わない場合

施行規則第15条は、正当な理由なく就労支援に関する自治体の指示に従わない場合には支給を行わない旨を定めています。活動報告を提出しないまま放置すると、支給が止まる可能性があります。

そのほか申請できない場合

申請者や世帯員が暴力団員である場合、同趣旨の他の転居支援給付を受けている場合などは対象外とされています。

申請から支給までの流れと必要書類

相談から申請までの5ステップ

  1. お住まいの市区町村の自立相談支援機関に電話で相談する(町村部は都道府県の福祉相談センターなどが窓口になります)
  2. 要件の見込みを確認し、申請書類を受け取る
  3. ハローワークで求職申込みを行う
  4. 必要書類をそろえて申請する
  5. 審査を経て支給決定、貸主口座へ振込が始まる

よく求められる書類

  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 離職や廃業、減収を確認できる書類(離職票、給与明細、事業の廃止届など)
  • 申請月の収入が分かる書類
  • 世帯全員分の金融資産を確認できる書類(通帳の写しなど)
  • 賃貸借契約書の写し
  • 入居住宅に関する確認書(貸主や管理会社に記入を依頼するもの)

貸主や勤務先に知られるのか

申請書類のうち「入居住宅に関する確認書」は、貸主または管理会社に記入を依頼するものです。そのため、貸主側には申請の事実が伝わります。支給が代理納付で貸主口座に振り込まれる点からも、貸主に知られずに利用することはできません。もっとも、家賃が滞るより先に公的な補助が入ることは貸主にとっても不利益ではなく、むしろ契約の継続につながる面があります。

勤務先については、離職の場合は離職票などで確認できるため、自治体から会社へ連絡が入ることは通常ありません。休業や減収を理由にする場合は、勤務先が発行する給与明細やシフト表などの提出を求められることがあり、書類の入手で勤務先とのやり取りが必要になる場合があります。

申請のタイミングは早いほうがよい

支給は申請月からの扱いになり、滞納済みの過去分を遡って補助する制度ではありません。「次の家賃が払えそうにない」と感じた時点が相談のタイミングです。審査にも一定の日数がかかります。

2025年4月に加わった転居費用補助

どういう人が対象か

家賃補助と同じ収入・資産の基準を満たし、かつ「転居により家賃が下がり、家計全体の改善が見込まれる」と認められることが条件です。多くの自治体では、事前に家計改善支援事業の相談支援を受け、そこで転居の必要性が認められることを前提にしています。相談すれば必ず認められるわけではありません。

対象になる費用とならない費用

区分具体例
対象になる家財の運搬費用、礼金、仲介手数料、家賃債務保証料、住宅保険料、ハウスクリーニング費・原状回復費、鍵交換費
対象にならない敷金、契約時に払う前家賃、家財や設備(エアコン・風呂釜など)の購入費

上限額も自治体差がある

世帯人数に応じた上限が設けられています。大阪市内への転居では1人世帯208,000円、2人224,000円、3人240,000円、4人256,000円、5〜6人272,000円、7人以上288,000円。さいたま市内への転居では1人236,000円、2人252,000円、3人272,000円、4人288,000円、5〜6人308,000円、7人以上324,000円とされています。同じ制度でも金額が異なるため、転居先の自治体の基準を確認してください。

なお、申請から支給決定までに時間がかかるため、契約日に支給が間に合わないことがあります。物件を決める前に窓口へ相談しておくと、契約日の調整がしやすくなります。

家賃が払えないときに併せて検討できる制度と、注意したいこと

家賃以外の資金が足りない場合

光熱費や食費まで足りない状況では、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度が選択肢になります。こちらは貸付なので返済が必要ですが、無利子または低利で、住居確保給付金と並行して相談できる場合があります。国民健康保険料や公共料金の減免・分納も、同じ窓口で案内されることがあります。

すでに借入の返済が重なっている場合

家賃と借入の返済が同時に回らなくなっている場合、家賃を借入で埋める対応は負担を先送りするだけになりがちです。返済条件の見直しが必要な段階であれば、任意整理のデメリットは何かで費用や信用情報への影響を確認したうえで、弁護士などの専門家に相談する流れが一般的です。個別の判断は専門家への相談が必要です。

ヤミ金・違法業者への注意

「家賃の滞納でも即日融資」「審査が甘い」といった広告で近づく違法業者があります。法外な利息や執拗な取立てにより、状況がさらに悪化します。公的な相談窓口を先に使ってください。

  • 消費者ホットライン:188(局番なし)
  • 法テラス(日本司法支援センター):0570-078374
  • 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター:0570-051-051
  • 警察相談専用電話:#9110

よくある質問

Q1. 住居確保給付金は返す必要がありますか。

給付金であり、返済は不要です。ただし、虚偽の申請などがあった場合は返還を求められます。貸付制度である生活福祉資金とは性質が異なります。

Q2. 失業給付を受けながら申請できますか。

申請自体は可能です。ただし失業給付は収入として算定されるため、基準額と家賃額の合計を超えると支給の対象外になります。金額によって結果が変わるため、窓口で試算を受けてください。

Q3. すでに家賃を滞納しています。滞納分も支給されますか。

支給は申請月以降の家賃が対象で、過去の滞納分を遡って補助する制度ではありません。滞納が続くと契約解除や明渡しの手続きに進む可能性があるため、早めの相談が重要です。

Q4. アルバイトやパート、自営業でも対象になりますか。

雇用形態による制限はありません。自分の責任や都合によらず収入が減ったことが確認できれば対象になり得ます。自営業の方は、求職活動の代わりに経営改善に向けた取組が認められる運用があります。

Q5. 持ち家に住んでいますが使えますか。

補助の対象は賃貸住宅の家賃です。持ち家の住宅ローン返済は対象になりません。

Q6. 支給が決まるまでどのくらいかかりますか。

書類がそろってから支給決定までに概ね2週間から1か月程度かかる例が多いものの、自治体や申請の混み具合によって異なります。お住まいの自治体で異なりますので、窓口で見込みを確認してください。

Q7. 同居の家族の収入も合算されますか。

同一世帯に属する方の収入と金融資産を合算して判定します。世帯分離の扱いなど判断が難しいケースは、窓口での確認が必要です。

Q8. 延長は必ず認められますか。

延長は、支給を続けることが就職の促進に必要と認められる場合に限られます。求職活動の実績が確認できることが前提で、自動的に延長されるものではありません。

まとめ

住居確保給付金は、家賃そのものを原則3か月、条件を満たせば最長9か月補助する給付制度です。要件は「離職・廃業から2年以内または同程度の減収」「主たる生計維持者」「収入が基準額+家賃以下」「金融資産が基準額の6倍(上限100万円)以下」「求職活動の継続」の5点に整理できます。2025年4月からは、家賃の低い住宅への転居費用も対象になりました。

一方で、基準額・家賃上限額・転居費用の上限は自治体ごとに異なり、全国一律の金額はありません。収入が基準額を超える場合は差額支給になるため、受け取れる額も人によって変わります。

支給は申請月からで滞納分の遡及はないため、「次の家賃が厳しい」と感じた段階で自立相談支援機関に相談することが、選択肢を広く保つうえで有効です。貸主には申請の事実が伝わる仕組みですが、滞納が積み上がってから対応するより、契約を維持しやすい方向に働きます。制度を使えるかどうかの判断は収入や資産の金額で決まる部分が大きいため、自己判断で見送らず、賃貸借契約書と直近の給与明細を持って窓口に相談することをおすすめします。


出典(確認日:2026年10月2日)

本制度の金額や運用は自治体ごとに異なります。最新の基準はお住まいの自治体の窓口でご確認ください。

執筆:サポート24編集部(担当:原田 由子)

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