お金が足りないときに使える公的制度7つ|借りる前に確認する窓口と条件

手元のお金が足りないとき、最初に思い浮かぶのは「どこかで借りる」ことかもしれません。ただ、借入には利息がつき、返済が始まります。状況によっては、利息のかからない貸付や、返さなくてよい給付が使える場合があります。

この記事では、国や自治体が用意している制度を7つ、条件と窓口とあわせて整理します。どれも申請が必要で、審査もあります。しかし「知らなかったので使えなかった」という事態だけは避けられます。

結論から言えば、最初に向かうべき窓口は2つです。 お住まいの市区町村の社会福祉協議会と、自立相談支援機関。この2つが、以下の制度のほとんどの入り口になっています。

まず、どこに相談すればいいのか

制度ごとに窓口が違うため、「自分が使えるものがどれか分からない」という状態で個別に回るのは効率が悪い方法です。先に、総合的な相談窓口を押さえてください。

社会福祉協議会(社協)

市区町村ごとに設置されている民間の福祉団体です。後述する生活福祉資金貸付制度の申込窓口を担っています。

厚生労働省は、この制度に関する相談先として、市区町村社会福祉協議会または都道府県社会福祉協議会を案内しており、コールセンター(0120-46-1999/平日9:00〜17:00)も設けています。

自立相談支援機関

生活困窮者自立支援制度にもとづく相談窓口で、こちらは自治体が設置しています。名称は自治体によって異なり、「くらしサポートセンター」「生活自立支援センター」などと呼ばれていることもあります。

住居確保給付金の申請窓口であると同時に、家計の立て直しや就労の相談にも対応しています。

どちらに行けばいいか

状況最初に相談する窓口
今月の生活費が足りない社会福祉協議会
家賃が払えそうにない自立相談支援機関
何から手をつけるべきか分からない自立相談支援機関
税金・保険料の支払いが厳しい市区町村の担当課(税務課・保険年金課)

迷う場合は自立相談支援機関を選んでください。相談内容に応じて、適切な窓口へつないでもらえます。

① 生活福祉資金貸付制度|無利子または低利の公的な貸付

都道府県社会福祉協議会が実施し、申込みの窓口は市区町村の社会福祉協議会が担う貸付制度です。対象は、低所得者世帯・障害者世帯・高齢者世帯の3つに分類されています。

厚生労働省の定義では、低所得者世帯は「必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯(市町村民税非課税程度)」、障害者世帯は身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者が属する世帯、高齢者世帯は65歳以上の高齢者が属する世帯とされています。

資金の種類と貸付条件

資金の種類貸付限度額据置期間償還期限利子
緊急小口資金10万円以内貸付日から2月以内据置後12月以内無利子
総合支援資金(生活支援費)二人以上 月20万円以内/単身 月15万円以内最終貸付日から6月以内据置後10年以内保証人あり無利子/なし年1.5%
総合支援資金(住宅入居費)40万円以内貸付日から6月以内同上
総合支援資金(一時生活再建費)60万円以内同上
福祉資金(福祉費)580万円以内貸付日から6月以内据置後20年以内保証人あり無利子/なし年1.5%
教育支援資金(教育支援費)高校 月3.5万円/高専・短大 月6万円/大学 月6.5万円 以内卒業後6月以内据置後20年以内無利子

(厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧」より)

緊急小口資金は、条件が最もやさしい

急な出費で当座の生活費が不足した場合に使えるのが緊急小口資金です。限度額は10万円以内と多くはありませんが、無利子で、連帯保証人も不要です。

据置期間が貸付日から2か月以内、償還期限が据置期間経過後12か月以内なので、返済が始まるまでに少し猶予があります。

なお、総合支援資金や福祉費は連帯保証人が原則必要とされていますが、厚生労働省は「連帯保証人を立てない場合も貸付可能」としています。保証人がいないことを理由に相談をあきらめる必要はありません。

申込みから貸付までの流れ

  1. 市区町村の社会福祉協議会に相談(電話で予約が必要な場合があります)
  2. 申込書類の提出 — 住民票、収入を確認できる書類、本人確認書類、通帳の写しなど
  3. 審査 — 世帯の収入・支出、償還の見込み、他制度の利用状況などが確認されます
  4. 貸付決定の通知
  5. 指定口座への振込

審査では「返せる見込みがあるか」が見られます。これは民間の融資と同じです。ただし公的制度の場合、返済計画そのものを一緒に立て直す前提で相談に乗ってもらえる点が異なります。

制度の詳しい内容は生活福祉資金貸付制度とはにまとめています。

② 住居確保給付金|家賃相当額の「給付」

離職や廃業、あるいは個人の責任によらない収入減少によって住居を失うおそれがある方に対し、家賃相当額が支給される制度です。貸付ではないため、返済の必要がありません。

申請窓口は自立相談支援機関です。収入要件・資産要件・求職活動要件が定められており、支給額は自治体ごとの基準額が上限となります。具体的な金額と要件はお住まいの自治体で必ずご確認ください。

なぜ「給付」であることが大きいのか

貸付と給付では、家計への影響がまったく違います。

貸付は、当座をしのげる代わりに返済という将来の支出が増えます。一方、給付は返済がありません。同じ「お金が入る」でも、半年後・一年後の家計の形が変わります。

そのため、貸付を検討する前に、給付の対象にならないかを先に確認するのが順序として正しいことになります。

動くタイミング

家賃の滞納が始まってから動くより、「来月が厳しい」と分かった時点で相談するほうが選択肢が多く残ります。

滞納が重なると、貸主との関係の修復に時間がかかり、最悪の場合は明渡しを求められます。住まいを失うと、就職活動にも影響します。住居に関する問題は、優先順位を最も高く置いてください。

③ 国民健康保険料・国民年金保険料の減免と猶予

保険料は、支払いが難しい場合に減免や猶予を申請できます。

国民健康保険料は、災害や失業、事業の廃止などによって所得が著しく減少した場合に、減免の対象となることがあります。ただし基準と手続きは市区町村ごとに大きく異なります。

国民年金保険料には、所得が一定以下の場合の免除制度と、50歳未満を対象とした納付猶予制度があります。免除を受けた期間も受給資格期間には算入されます。未納のまま放置するのとは扱いが違うため、払えない場合は必ず申請してください。

滞納を放置した場合、最終的に財産の差押えに至ります。 差押えが実行されてからでは、選べる手段が大きく減ります。

④ 税金の猶予制度|換価の猶予と納税の猶予

国税・地方税ともに、一時に納付することが困難な場合の猶予制度があります。

  • 換価の猶予:財産の換価(売却)を猶予し、分割納付を認める制度
  • 納税の猶予:災害や事業の休廃止など、一定の事情がある場合に納税を猶予する制度

いずれも申請が必要で、期限内に手続きをしなければ適用されません。延滞税が軽減される場合もあります。詳細は国税庁および各自治体の公表資料で確認してください。

⑤ 求職者支援制度|訓練を受けながら月10万円

雇用保険を受給できない求職者が、無料の職業訓練を受けながら月額10万円の職業訓練受講給付金を受け取れる制度です(収入・資産等の要件あり)。

窓口はハローワークです。「今の収入では立て直せない」という段階であれば、収入源そのものを変える選択肢として検討する価値があります。

訓練期間中は通所手当が別途支給される場合もあり、受講する訓練の分野も複数から選べます。数か月単位の時間が必要になるため、当座の資金繰りとは切り分けて考えてください。

⑥ 生活保護|最後のセーフティネットではあるが、早めの相談を

生活に困窮する方に対し、健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度です。

「持ち家があるから」「働いているから」という理由で対象外だと自己判断される方が少なくありませんが、実際の可否は資産・収入・扶養の状況を総合して判断されます。 申請は国民の権利であり、相談すること自体に不利益はありません。

窓口は福祉事務所です。

⑦ 自治体独自の貸付・給付

上記のほかに、自治体が独自に実施している制度があります。

  • 一時的な生活資金の貸付
  • ひとり親世帯向けの給付・貸付
  • 就学援助
  • 水道料金の減免

これらは自治体ごとに有無も内容も異なります。 自立相談支援機関に相談すれば、その地域で使えるものを教えてもらえます。

どの順番で使えばいいのか

複数の制度が該当しそうな場合、次の順序で検討してください。負担が軽いものから確認するのが原則です。

順番種類具体例負担
1減免・猶予保険料の減免、税の換価の猶予支出そのものが減る/後ろ倒しになる
2給付住居確保給付金、職業訓練受講給付金返済不要
3無利子の貸付緊急小口資金、教育支援資金返済あり・利息なし
4低利の貸付総合支援資金、福祉費返済あり・年1.5%
5民間の借入カードローン等返済あり・利息が最も重い

多くの方が、1〜4を飛ばして5から検討を始めます。 順番を逆にするだけで、最終的な負担が変わります。

相談に行く前に整理しておくと、話が早く進みます

項目準備するもの
収入直近3か月分の給与明細、確定申告書の写し
支出家賃、光熱費、保険料、通信費の月額
借入借入先ごとの残高と毎月の返済額
滞納税・保険料・家賃の滞納の有無と金額
世帯同居している家族の人数と年齢

これらは、どの制度に相談する場合でもほぼ共通して聞かれる項目です。

借入を検討する場合の注意

公的制度を確認したうえで、それでも借入が必要になることはあります。その場合、必ず正規の登録業者かどうかを確認してください。

「審査なし」「誰でも借りられる」といった表示をしている業者は、正規の貸金業者ではない可能性が高いと考えられます。貸金業者の登録は、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で確認できます。

すでにトラブルを抱えている場合の相談先は次のとおりです。

  • 消費者ホットライン(局番なし 188
  • 法テラス(日本司法支援センター)
  • 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター
  • 警察相談専用電話(#9110

返済が滞っている段階であれば、借金が会社にバレる6つの経路もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q1. 制度を使うと、家族や勤務先に知られますか。

制度によります。生活福祉資金貸付制度では世帯単位で審査が行われるため、同居家族の収入状況の申告が必要です。一方、税や保険料の猶予は本人の手続きで完結します。気になる点は、相談時に窓口へ直接ご確認ください。

Q2. 過去に滞納があると、公的な貸付は受けられませんか。

滞納の事実のみで一律に否決されるわけではありません。ただし償還の見込みは審査されます。滞納がある場合は、その分についても並行して猶予や分割の相談をしておくと、返済計画に一貫性が出ます。

Q3. 審査にはどのくらい時間がかかりますか。

制度・自治体・時期によって異なります。「今日中に現金が必要」という段階では間に合わない可能性が高いため、早めの相談が重要です。

Q4. 働いていても対象になりますか。

なります。生活福祉資金の低所得者世帯は「市町村民税非課税程度」が目安とされており、就労の有無ではなく収入水準で判断されます。

Q5. 借りたお金は、必ず返さないといけませんか。

貸付制度は返済が必要です。一方、住居確保給付金のような給付は返済不要です。両者は性質が異なるため、相談時にどちらの制度なのかを必ず確認してください。

Q6. 個人事業主・フリーランスでも使えますか。

制度によっては対象です。生活福祉資金の対象区分は世帯の所得等で判断されるため、雇用形態は問われません。

なお、債務整理そのものが勤務先に伝わるかどうかは手続きによって変わります。経路ごとの違いは債務整理は会社にバレるのか|手続き別に知られる経路を整理にまとめました。

制度を使う前に自分の信用情報を確認しておくと、選べる手段の見当がつきます。保有期間と開示のしかたは信用情報はいつまで残るのか|CIC・JICC・KSCの違いと開示のしかたにまとめました。

まとめ

お金が足りないとき、借入は選択肢のひとつにすぎません。利息のかからない貸付や、返済不要の給付が使える場合があります。

要点は3つです。

  1. 最初の窓口は、社会福祉協議会か自立相談支援機関。どちらに行くか迷うなら後者
  2. 緊急小口資金は10万円以内・無利子・保証人不要と、条件が最もやさしい
  3. 滞納が始まってからでは選択肢が減る。「来月が厳しい」と分かった時点で相談する

制度はいずれも申請が前提で、黙っていて適用されるものはありません。まず相談してください。


出典(確認日:2026年9月14日)

厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/index.html / 厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/kashitsukejoken.html

※本記事は制度の概要をまとめたものです。支給額・要件・手続きは自治体および年度によって異なる場合があります。最新の内容は、お住まいの自治体および各制度の公式情報をご確認ください。

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